社名 SOMPOリスクマネジメント株式会社
本社 東京都新宿区西新宿一丁目24番1号 エステック情報ビル27階
設立 1997年11月19日
資本金 30百万円
URL https://www.sompo-rc.co.jp/

今回インタビューにご協力いただいたのは、SOMPOリスクマネジメント株式会社データアナリティクス部ビジネスサイエンスグループのグループリーダー、松家様と、同グループの上席研究員である澤田様です。

本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。御社とは弊社創業時からお付き合いいただいておりますが、このような機会は初めてです。どうぞよろしくお願いいたします。まずは御社の事業内容についてお聞かせください。

(リスク社松家氏)
はい、SOMPOリスクマネジメント株式会社(以下、リスク社)全体としては、企業のリスクマネジメントや様々な経営課題に関するコンサルティング、調査研究等のサービスを提供しております。例えば、工場などの施設で「ここにこういうものを置くと危険」といったリスク評価を行っています。その中で、私たちの部門は特にデータを活用して損保ジャパンを中心としたグループ各社の業務を支援しています。具体的には、損害保険料率の算出サポート、実際の損失額の評価といったリスク分析、さらには「今年はこれくらいの損失が予想される」といった予測モデルの構築をお手伝いしています。

―ありがとうございます。従来は保険料の計算はアクチュアリーの仕事という認識でしたが、おそらく重複する部分もあるものの、データを活用する新たな領域も生まれているのではないでしょうか。その辺りについて詳しくお聞かせいただけますか。また、差し支えなければ、データを扱うチームの規模についてもお教えください。全体でどれくらいの人数がいらっしゃるのでしょうか。

(リスク社松家氏)
メンバーは20人から30人くらいだと思います。アクチュアリーと比較すると、私たちの役割は少し異なります。アクチュアリーは自動車保険や火災保険などの伝統的な保険の料率算出に関わりますが、私たちは新しいリスクに対する評価にデータサイエンスを活用することが多いです。また、従来の保険分野でも、新しいデバイスや切り口を用いたサービス開発に携わっています。例えば、自動車テレマティクス保険では、走行の安全性を事故データと比較して評価する際にデータサイエンスを活用しています。

―お話しいただいた業務を主にされているとのことですが、お二人の具体的な業務の関わり方や立場について、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。例えば、実務を担当されているのか、マネジメントをされているのかなど、具体的なお仕事の内容を教えていただけると幸いです。

(リスク社松家氏)
私はマネジメントの立場にあり、日々の業務として澤田や他のメンバーへの業務割り当て、未完了の作業のフォロー、そして必要に応じて外部との折衝や出張を行っています。一方、澤田は主にデータ分析やモデル開発といった実務を担当しています。

―公表できる範囲で結構ですので、具体的な内容をお聞かせください。

リスク社澤田氏)
漆畑さんにもお願いしたことがあるかもしれませんが、機械学習モデルを活用するものや、伝統的なファイナンス手法、回帰分析を用いるものなど、様々です。現在取り組んでいるマーケティング系分析では、機械学習モデルを使用しています。

―ありがとうございます。弊社は御社のプロジェクトに様々な形で参画させていただいております。弊社にご依頼いただいた背景や課題などをお聞かせいただけますでしょうか。

(リスク社松家氏)
 まずリソース不足という問題がありましたが、漆畑さんのデータサイエンティストとしてのスキルが非常に優秀だということが、第一の理由ですね。おっしゃる通り、他の外部パートナーにも依頼していましたが、やはりそのレベルが求めるものに見合っていなかったのです。そのため、徐々に外部パートナーとの関係を縮小していきました。現在も残っているのは漆畑さんくらいですね。

―お話を伺った中で、データサイエンティストとしての技術的なスキルはもちろん重要ですが、それ以外にも重視されている点があるのではないかと思います。内部・外部を問わず、技術的な能力以外に、どのような人材や能力を重要視されていますか?ソフトスキルでも構いませんが、「これがないと困る」といったような、特に重視されている点はありますか?

(リスク社松家氏)
外部の方に関しては、漆畑さんのようにマーケティング・ミックス・モデリングに精通していたりですとか、私たちが持っていない知見をお持ちでお手伝いいただけるとすごくありがたいですね。

―そうですね。デジタルマーケティングに精通している人材は確かに少ないですね。
―話は変わりますが、弊社をご利用いただいて、満足されている点などあればお聞かせください。

(リスク社松家氏)
 結果に関しては大変満足しております。先日お手伝いいただいた、ある保険商品に関係する機械学習モデルも非常に高い精度を出していただいて、今もそれをベースに運用しています。

―ありがとうございます。はい、あれも難しい課題でしたね。

(リスク社松家氏)
 そうでしたね。あれをさらに改善しようと今頑張っているところです。

―今後の展望や目標についてお聞かせください。

(リスク社松家氏)近年はデータ活用の範囲が広がっており、例えば、社員のエンゲージメントや顧客満足度、サービス品質の分析などにもデータを活用しています。新しい領域に積極的に参入していきたいと考えていますし、現在のサービスを応用して事業を拡大していきたいとも考えています。ゆくゆくは我々のサービスを、グループの枠を超えたお客様にも提供したいと考えています。

―ありがとうございます。データ活用の範囲が広がっているのですね。従来の損害保険会社のデータ分析といえば、保険商品のリスク分析が中心でしたが、それに限らず社内や顧客関連のデータも活用しているということですね。異業種とのコラボレーションについてはいかがでしょうか?何か想像できるものはありますか?

(リスク社松家氏)
可能性はあると思います。実際、リスク社は様々なコラボレーションを行っています。最近ではAIガバナンスの分野で、CitadelAIさんなどと協力しています(安全な生成AI活用のためのガバナンス態勢整備・運用の実現に向けて-SOMPOリスクマネジメント、Citable AIの業務提携開始、2024.06.27[1])。EUやアメリカでAIに関する法制化や標準化が進んでおり、日本も同じ方向に向かうと思われます。そのため、AIモデルのリスクやガバナンス評価のニーズが今後高まる可能性があります。

つまり、AIモデルに潜むリスクについての評価ということですね。

(リスク社松家氏)
そうです。生成AIの著作権問題なども最近話題になっていましたよね。そういった問題は今後さらに増えていくでしょう。我々のリスクコンサルティング部門でもそういった分野に取り組んでいます。

いろいろお聞かせいただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。弊社から見ても、御社のデータは独自性とボリューム、いずれの観点からも魅力的なものであり、本プロジェクトを通して、それらの分析を通じて新たな価値創造のご支援ができたとすれば、大変光栄に思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

[1] リスク社様HP 「ニュースリリース」https://image.sompo-rc.co.jp/infos/20240627_1.pdf?__CAMCID=JZiZtwzZCz-213&__CAMI=3.3.1.1.diqzgCyNcF.B4CxMosXt9sDPMaa-06&__CAMSID=B4CxMosXt9sDPMaa-06&__CAMVID=diqzgCyNcF&_c_d=1&_ct=1727665568101