社名 ユーソナー株式会社
本社 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティ15F
設立 1990年9月10日
資本金 1億円
URL https://usonar.co.jp/

この度インタビューに応じて頂いたのは、ユーソナー株式会社サポート本部MXグループ常務執行役員、吉川大基様(写真左)とサポート本部MXグループマネージャー、桧山様(写真右)、調査グループ文系調査チームマネージャー横倉様です。

ユーソナー様は、日本最大の法人企業データベース(以下企業データベース)を構築しており、そのデータを活用して営業やマーケティングの支援を行っています。今回新たなマーケティングソリューションの開発のため「消滅するリスクが高い企業」などの分析を行いました。膨大なデータの統計解析を要するため、この度、弊社がご支援させて頂きました。

企業データを活用した営業支援と新しい視点からのマーケティング指標

―貴社のサービス内容についてお聞かせください。
(ユーソナー吉川氏)
ユーソナー株式会社の事業ですが、日本最大の企業データベースLBCを構築しており、そのデータを活用して営業やマーケティングの支援を行っています。具体的には、この企業データベースとクライアント様の顧客データを名寄せし、未開拓の企業リストを抽出したり、顧客データのメンテナンスを行ったりしています。例えば、登記上の情報や旧住所、旧社名を新しく正確な情報に更新し、さらに業種や売上、従業員数などの情報を付与して、より使いやすいデータベースに整備するという支援を行っています。基本的には営業やマーケティングの支援が主業務ですが、この日本最大の企業データは、それだけでなく社会に役立つサービスを生み出せるのではないかと考え、現在さまざまな試みを行っています。

―具体的にどのような試みを行っているのでしょうか?
(ユーソナー吉川氏)
1つは、営業やマーケティングをする上で、アプローチ先の優先順位を明確にし、無駄なアプローチを減らすためにはどうすればよいかという課題に対しての取り組みです。弊社は、消滅しそうな企業は顧客生涯価値の観点から、アプローチ先としての優先順位が低いだろうと考え、その程度を定量化した「消滅スコア」の検討を始めました。もう一つは、プレスリリースにも記載しましたが、この膨大なデータを活用して日本の特徴を俯瞰的に見ることです。地域の特徴や東京一極集中の実態など、弊社のデータベースだからこそ見える特徴を浮き彫りにできると考え、「日本企業の縮図レポート」という新しい取り組みを始めています。

「消滅スコア」開発プロジェクトの経緯

―消滅スコアの作成に関して、弊社(Crosstab)にご依頼いただいた背景を教えてください。
(ユーソナー吉川氏)

どのように進めていくかを検討し、さまざまな会社様にアプローチをしていました。いろいろな調査会社と話をしていたところ、たまたま弊社の会長である福富がCrosstabの漆畑さんと以前会ったことがあるという話を聞きました。また、(吉川様とCrosstab漆畑の)共通の知り合いもいたため、それならやりやすいねということで、話を聞くということになりました。いろいろな会社様にアプローチをしましたが、一番親和性があったのが漆畑さんでした。過去の経歴や書籍を見ても、しっかりとしたノウハウを持っていて、類似のことをされており、また巨大な広告データのスコアリング経験もあるということで、「それならいいね」と思いました。

―本当に偶然のご縁って大事だなと思います。
(ユーソナー吉川氏)

膨大なデータベースを使ってスコアリングを行い、金融系の知識もあるということでご依頼しようと考えました。最初は、私たちがやりたいことを漆畑さんと話し合い、初期の計画から一緒に入ってもらうような形でした。弊社の担当、調査部門とシステム部門でプロジェクトを組み、その計画を「こういう進め方でいいか」というディスカッションをしながら、「これでいこう」と大体のスケジュールを一緒に作り、プランニングの段階から入ってもらいました。細かく設計・ご支援いただき、弊社としてはデータベースのメンテナンスや特定、付与などが得意ですが、分析の部分はまだまだ知見を強化していかなければならないところがあり、いろいろとご支援いただき大変ありがたく思っております。

―こちらこそありがとうございます。
(ユーソナー吉川氏)

追加でもう一点あるとすれば、提案が複数段階に分かれていて、フェーズを少し分けて、我々の都合に合わせた形で進めようという提案をいただけたのが、やはり良かったですね。いきなりスコアリングをすると言われても、何から始めればいいのか分からない状況の中で、フェーズを分けていただき、こちら側のペースに合わせたご提案をしていただけたというところが一番ポイントかなと思いました。

[図 プロジェクトをフェーズごとに進めリスクを最小にしながら目標まで向かう]

独自データから算出した消滅スコアと営業効率化の新たなアプローチ

―消滅スコアのプレスリリース時に『「同じビルにおしゃれなカフェが入っている企業」は消滅リスクが高い』というのが話題になりました。この「同じビルにおしゃれなカフェが入っている企業」のようなものは「ストーリー属性」と呼ばれる独自のデータですよね。
(ユーソナー桧山氏)

はい、大体二千項目くらいあるかもしれませんが、たくさん集めています。人手で結構集めているものもあれば、ウェブ上で集めているものもあり、さまざまな方法でやっています。弊社の特徴として、一般的な企業にはない調査グループという部署があります。また目検というチェックプロセスがあります。ストーリーデータなどを、目でメンテナンスしたり統合したりする、そういう業務が、在宅ワーカーの方も含めて登録者ベースで約4300名くらいであたっています。

―御社のお客様にとって、消滅スコアはどのような位置づけになりますでしょうか?
(ユーソナー横倉氏)

これまでのマーケティングでは、より成約率を高めるための優先順位付けがターゲティングの中心でしたが、それに加え、より優先順位が低い先を除くという視点はあまりありませんでした。リストの一部をアプローチ先とする視点に加え、一部をアプローチ外として優良先の取りこぼしなく営業コストを削減する、そんな感じで使っていただければ面白くなるかなとは考えています。
また、営業と審査のコンフリクトを極力避けることでのコスト削減ですね。営業と審査の間には見えない壁があります。せっかく営業がアタックし、クロージングできそうな段階になって、「与信基準に達していない」と。それでNGになると、営業のこれまでの活動がすべて無駄になってしまいます。ですから事前にそのような先をスクリーニングできれば、営業コストの削減が可能です。

―なるほど、与信ではなくあくまで営業のツールということですね。
(ユーソナー横倉氏)

そうです。信用調査会社様のスコアは、受注直前のタイミングで照会されることが多いですが、消滅スコアの活用法としては、営業担当が電話をかける前です。そういう意味でも与信評点とは異なります。倒産だけではなく、重要なのは継続的な収益が確保できそうかという、顧客生涯価値の観点から評価するということですね。解散のような形での廃業も含めた消滅スコアであり、そういう意味で回収ベースでの評価ではないということが、与信評点とは違う新しいロジックです。

今後に向けて

―今後の課題や動きなどについて教えてください。
(ユーソナー横倉氏)

当然のことながらスコアリングモデルの精度維持のために、モニタリング作業を継続していかなければいけませんね。特徴も変わっていくはずなので、消滅モデルを見直していく必要もあります。さらに法人営業において、消滅スコアをどのように活用していくのかという啓蒙も必要になってくると考えます。

―いろいろお聞かせいただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。弊社から見ても、御社のデータは独自性とボリューム、いずれの観点からも魅力的なものであり、本プロジェクトを通して、それらの分析を通して新たな価値創発のご支援ができたとあれば、大変光栄に思います。今後とも何卒よろしくお願い致します