近年、データビジネス開発部という部署を聞くようになりました。従来のビジネス開発と異なるのはデータ活用を前提とした事業創出を使命としていることです。
本稿ではデータビジネス開発と従来のビジネス開発との違いを説明し、それを効果的に行うために参考となるフレームワークをワークショップ形式で説明していきます。

はじめに

データビジネス開発は、新規・既存を問わない事業開発1事業開発の定義は各社様々であるが、一般論として新規事業や、既存事業の中から派生するサービスを考えたりするようなイメージで語られることが多い
の一部であり、特にデータ活用が主な役割を果たすもの。

アンゾフの成長マトリックス2(Ansoff, 1957) このマトリクスは全社成長戦略を前提としているので、事業開発となると必ずしも適切とは言えないが俯瞰には便利ため使用する

データ活用が主な役割を果たすとは、それが顧客への価値提案に大きな影響を与えることと考えられます。

大きな影響を与える例

  • ターゲティング広告
  • AI与信によるローン
  • 広告効果最適化
  • HRテックにおける退職率予測

それ以外の例

  • 交通量調査(マンパワーの代替と考えられるため)
  • 自動運転(上記と同様の理由)
  • 名刺のスキャン(上記と同様の理由)

具体的にマッピングしてみます。自社向けの、施策も「自社へのサービス」とみなします。

データビジネスのようでそうではない、なんちゃってデータ活用の例を考えてみます。このタイプのものはデータ活用がバリューチェーンと分断されています。

  • BIでダッシュボードを構築した。
  • CDPを導入した。
  • 顧客をクラスタリングした(だけ)。

本稿の目的は、データビジネス開発で何を目指し、どう行うかを学び、そのワークショップを自らが行えるようになることです。

データビジネスモデルキャンバス

オリジナルのビジネスモデルキャンバスは以下です。3* Business model canvas (Osterwalder 2010)

Business model canvas (Osterwalder 2010)

これを筆者の方でデータビジネスモデルに合うように修正したものが以下です。4既存BMCとの違いを文献レビューなどで調査した先行研究では、ブロック区分の名称変更や区分統合などで拡張を試みている (Babett et al. 2018)

データ

データは、社外内を問わず利用するデータです。利用できるかどうかより、一旦ゼロベースでピックアップします。

モデリングと運用

モデリングと運用は、オリジナルBMCの「主要な活動」に相当します。

リソース

リソースは社内外の人材及びストレージやツールなどです。データとは区別します。

(参考)

(参考) モデリングや開発段階では、従量課金ツールではなく、pythonやRなどのオープンソースツーや定額課金のツールを使用し、運用段階で重量課金のツールを使うのがベターです。 (費用収益が対になるように)

意思決定内容/主体/タイミング

何を誰がいつ意思決定するのかを整理します。

他にも色々考えられます。例えば炎上した内定辞退率の予測はどうでしょう?

収益の流れ

収益計算は最重要項目です。先の例で確認してみます。

赤字がコントロールパラメータです。これを改善することで収益は改善します。

コスト構造

同様に赤字がコントロールパラメータであり、これを改善することでコストは改善します。変動費が重要です。

いくつかの例

前項の例を精緻化してみました。

Workshopの進め方

社内外に対してワークショップを行う事でデータビジネスモデル開発のファシリーテートを行います。

4-6人のグループに分け、時間は休憩含めて240分としています。

終わり

弊社はデータビジネス開発に特化したワークショップをコンサルティングメニューとして展開しております。ご興味ございましたら、恐縮ですが弊社HPよりお問い合わせ頂ければと思います。何卒宜しくお願い致します。
 

  • 1
    事業開発の定義は各社様々であるが、一般論として新規事業や、既存事業の中から派生するサービスを考えたりするようなイメージで語られることが多い
  • 2
    (Ansoff, 1957) このマトリクスは全社成長戦略を前提としているので、事業開発となると必ずしも適切とは言えないが俯瞰には便利ため使用する
  • 3
    * Business model canvas (Osterwalder 2010)
  • 4
    既存BMCとの違いを文献レビューなどで調査した先行研究では、ブロック区分の名称変更や区分統合などで拡張を試みている (Babett et al. 2018)